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平成20年度行政書士試験問題
問題21〜30
問題21 地方自治法の定める町村の条例制定の可否に関する次の記述のうち、妥当なもの
はどれか。
1 町村は、住民による直接の選挙で首長を選出せず、議会で首長を選出する旨の条
例を制定することができる。
2 町村は、議会を設置せず、選挙権を有する者の総会をもってこれに代える旨の条
例を制定することができる。
3 町村は、教育委員会を設置せず、教育長にその事務を行わせる旨の条例を制定す
ることができる。
4 町村は、選挙管理委員会を設置せず、首長またはその補助機関に選挙管理の事務
を行わせる旨の条例を制定することができる。
5 町村は、監査委員を置かず、監査に関する事務を外部に委託する旨の条例を制定
することができる。
問題22 地方自治法の定める裁判所への出訴に関する次の記述のうち、誤っているものは
どれか。-
1 市町村の境界に関する争論について都道府県知事が行った裁定に不服があるとき
は、関係市町村は、境界の確定について出訴することができる。
2 市町村議会議員選挙を無効とする旨の都道府県選挙管理委員会の裁決に不服があ
るときは、当該議会は、この裁決について出訴することができる。
3 都道府県知事が所定の期限内に法定受託事務に関する是正勧告に係る事項を行わ
ないときは、各大臣は、この不作為について出訴することができる。
4 都道府県が担当する事務に関する国の是正の要求について国地方係争処理委員会
が行った審査の結果に不服があるときは、当該都道府県の知事は、この是正の要求
について出訴することができる。
5 市町村議会における条例制定の議決についての都道府県知事による裁定の結果に
不服があるときは、当該市町村の議会又は長は、この裁定について出訴することが
できる。
問題23 普通地方公共団体の財務に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例
に照らし、妥当なものはどれか。
1 公共用財産については、それが長年の間事実上公の目的に供用されることなく放
置され、黙示的に公用が廃止されたものとみなしうる場合であっても、取得時効の
成立は認められない。
2 行政財産の目的外使用の許可については、当該財産の目的に鑑みて支障がない場
合であっても、管理者はその許可を拒否することができる。
3 地方公共団体は、指名競争入札に参加させようとする者を指名する際に、その者
が地元の経済の活性化に寄与するか否かを考慮に入れてはならない。
4 地方公共団体の議会があらかじめ承認を与えたときでも、当該地方公共団体は、
その財産を適正な対価なくして譲渡すること‘まできない。
5 金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利は、時効に関し地方自治法以外の法
律に特別の定めがある場合を除くほか、時効によりジ肖滅することはない。
問題24 住民訴訟に関する次のア~ エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しい
ものの組合せはどれか。
ア教育委員会が教頭を退職前の1 日だけ校長に任命した行為を前提に、地方公共団
体の長が行った退職手当の支給は、任命行為が違法であるならば当然に違法となる。
イ懲戒免職処分とすべきところを違法に分限免職処分とした上で行われた退職手当
の支給は、当該分限免職処分が退職手当の支給の直接の原因であるから、当然に違
法となる。
ウ地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して契約を締結した場合に
は、当該契約に基づく債務の履行は当然に違法となる。
工県議会議長が発した議員の野球大会参加のための旅行命令書に基づき知事の補助
職員が行った公金の支出は、当該旅行命令が違法であったとしても適法となる余地
がある。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 ア・エ
4 イ・ウ
5 イ・エ
問題25 地方自治法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 都道府県は、指定都市の市長から要請があった場合には、都道府県の事務の一部
又は全部を指定都市に移譲しなければならない。
2 指定都市が市長の権限に属する事務を分掌させるために条例で設ける区を、特別
区という。
3 市が中核市の指定の申出をしようとするときには、当該市は、あらかじめ議会の
議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。
4 中核市は、特例市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理す
ることができる。
5 地方自治法が定める一定の人ロ要件を下回った市は、町または村となる。
問題26 行政調査に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはど
れか。
1 保健所職員が行う飲食店に対する食品衛生法に基づく調査の手続は、行政手続法
の定めるところに従って行われなければならない。
2 税務調査については、質問検査の範囲・程度・時期・場所等について法律に明ら
かに規定しておかなければならない。
3 警察官職務執行法2 条1 項の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要
性・緊急性があれば、強制にわたることがあったとしても許される。
4 自動車検問は国民の自由の干渉にわたる可能性があるが、相手方の任意の協力を
求める形で、運転手の自由を不当に制約するものでなければ、適法と解される。
5 税務調査の質問・検査権限は、犯罪の証拠資料の収集などの捜査のための手段と
して行使することも許される。
問題27 A が自己の所有する甲土地をB と通謀してB に売却(仮装売買) した場合に関す
る次のア~ オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組
合せはどれか。
アB が甲土地をA に無断でC に転売した場合に、善意のC は、A ・B 間の売買の無
効を主張して、B ・C 間の売買を解消することができる。
イB が甲土地をA に無断でC に転売した場合に、善意のC に対して、A はA ・B 間
の売買の無効を対抗することはできないが、B はこれを対抗することができる。
-、
、
ウA の一般債権者D は、A ・B 間の売買の無効を主張して、B に対して、甲土地の
A への返還を請求することができる。
エB が甲土地につきA に無断でE のために抵当権を設定した場合に、A は、善意の
E に対して、A ・B 間の売買の無効を対抗することができない。
オB の一般債権者F がA ・B 間の仮装売買について善意のと割よ、A は、F に対し
て、F の甲土地に対する差押えの前であっても、A ・B 間の売買の無効を対抗する
ことができない。
ア・イ
ア・ウ
ア・オ
イ・エ
イ・オ
- 16 -
問題28 A の子B が、A に無断でA の代理人としてA 所有の土地をC に売却する契約を結
んだ。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当な
ものはどれか。
1 C はA が追認した後であっても、この売買契約を取りY肖すことができる。
2 B が未成年者である場合、A がこの売買契約の追認を拒絶したならば、C はB に
対して履行の請求をすることはできるが、損害賠償の請求をすること‘まできない。
3 A がこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、B がA を単独相続したと
しても無権代理行為は有効にはならない。
4 A が追認または追認拒絶をしないまま死亡してB がA を相続した場合、共同相続
人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。
5 C が相当の期間を定めてこの売買契約を追認するかどうかをA に対して回答する
よう催告したが、A からは期間中に回答がなかった場合、A は追認を拒絶したもの
と推定される。
問題29 A ・B が不動産取引を行ったところ、その後に、C がこの不動産についてB と新
たな取引関係に入った。この場合のC の立場に関する次の記述のうち、判例に照ら
し、妥当でないものはどれか。
1 A からB に不動産の売却が行われ、B はこれをさらにC に転売したところ、A が
B の詐欺を理由に売買契約を取りジ肖した場合に、C は善意であれば登記を備えなく
\ ても保護される。
2 A からB に不動産の売却が行われた後に、A がB の詐欺を理由に売買契約を取り
消したにもかかわらず、B がこの不動産をC に転売してしまった場合に、C は善意
であっても登記を備えなければ保護されない。
3 A からB に不動産の売却が行われ、B はこれをさらにC に転売したところ、B に
代金不払いが生じたため、A はB に対し相当の期間を定めて履行を催告したうえ
で、その売買契約を解除した場合に、C は善意であれば登記を備えなくても保護さ
れる。
4 A からB に不動産の売却が行われたが、B に代金不払いが生じたため、A はB に
対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、
B から解除後にその不動産を買い受けたC は、善意であっても登記を備えなければ
保護されない。
5 A からB に不動産の売却が行われ、B はこれをさらにC に転売したところ、A ・
B の取引がA ・B により合意解除された場合に、C は善意であっても登記を備えな
ければ保護されない。
問題30 A は、自己所有の土地につき、B との間で賃貸借契約を締結した(賃借権の登記
は未了)。A がB にこの土地の引渡しをしようとしたところ、この契約の直後にC
がA に無断でこの土地を占拠し、その後も資材置場として使用していることが明ら
かとなった。C は明渡請求に応ずる様子もないため、A とB は、C に対して次のア
~ オの法的対応を検討している。これらの対応のうち、民法の規定および判例に照
らし、妥当なものの組合せはどれか。
アA が、C の行為を不法行為として損害賠償請求をすること。
イA が、自己の土地所有権に基づき土地明渡請求をすること。
ウB が、自己の不動産賃借権に基づき土地明渡請求をすること。
エB が、占有回収の訴えに基づき土地明渡請求をすること。
オB が、A がC に対して行使することができる、所有権に基づく土地明渡請求権を
代位行使すること。
1 ア・イ・オ
2 ア・ウ・エ
3 イ・ウ・エ
4 イ・エ・オ
5 ウ・エ・オ
問題21〜30
問題31〜40