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平成20年度行政書士試験問題
問題11〜20
問題11 行政手続法の定める審査基準に関する次のア~ オの記述のうち、誤っているもの
はいくつあるか。
ア審査基準とは、行政庁が不利益処分をするか否かについて判断するために必要な
基準である、と定義されている。
イ審査基準を設定した場合には、設定後の審査基準を私人に対して不利益になるよ
うに変更することは許されない、と定められている。
ウ審査基準を定めることは行政庁の努力義務であるが、設定した場合には、これを
公にしておくジ去的義務が課される。
エ審査基準には、法律に基づき処分の要件を定める政省令は含まれない。
オ審査基準を設定する際には、どのような内容であっても、行政庁は意見公募手続
を実施しなければならない。
1 一つ
2 一つ
3 = つ
4 四つ
5 五つ
問題12 行政手続法における申請拒否処分の取り扱いについての次の記述のうち、妥当な
ものはどれか。
1 申請拒否処分は、不利益処分の一種であるから、こうした処分にも、不利益処分
に関する規定が適用される。
2 申請拒否処分についても、相手方の権利に重大な影響を及ぼす許認可等を拒否す
る場合などには、事前の聴聞が義務付けられている。
3 申請拒否処分の理由については、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要
がある場合には、処分後相当の期間内に示せば足りる。
4 公にされた標準処理期間を経過しても申請に応答がなされない場合には、申請拒
否処分がなされたものとみなされる。
5 申請拒否処分が許されない場合において、それをなしうるとして申請の取下げを
求める行政指導は、違法な行政指導である。
問題13 行政手続法における届出の取り扱いについての次のア~ エの記述のうち、正しい
ものの組合せはどれか。
ア個別法上は届出の語が用いられていても、それが行政手続法上の届出に当たると
は限らない。
イ法令に基づき、自己に対して何らかの利益を付与する行政庁の応答を求める行為
は、行政手続法上の届出に含まれる。
ウ届出書の記載事項に不備がある場合であっても、届出がなされた以上は届出義務
は尽くされたことになる。
エ地方公共団体の機関が、その固有の資格においてすべきこととされている届出に
は、行政手続法上の届出に関する規定の適用はない。
T上りムリリ“生に一U
ア・イ
ア・ウ
ア・エ
イ・ウ
イ・エ
問題14 行政上の不服申立てについての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 行政上の不服申立ての道を開くことは、憲法上の要請ではないので、この制度を
廃止しても、憲法違反とはならない。
2 明治憲法下で行政上の不服申立てを定めていた訴願法は、行政裁判法と同時期に
制定され、これと同時に廃止された。
3 行政不服審査法は、行政事件訴訟法とともに、戦後改革の一環として、現行憲法
の制定と同じ時期に制定された。
4 憲法は、行政機関が裁判を行うことを禁止しているから、裁判手続に類似した行
政上の不服申立てを整備することによって地方裁判所における審級を省略すること
は許されない。
5 憲法による法定手続の保障の趣旨は、行政上の不服申立ての手続にも及ぶので、
その手続においても、ロ頭弁論主義が原則とされている。
問題15 行政不服審査法(以下、辞去」という。) に規定する不服申立ての対象に関する次
の記述のうち、正しいものはどれか。
1 法において「処分」には、「人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を
有するもの」などの事実行為が含まれるが、これは取消訴訟の対象にはならないが
不服申立ての対象となる行為を特に明文で指示したものである。
2 法における「不作為」には、申請が法令に定められた形式上の要件に適合しない
との理由で、実質的審査を経ずに拒否処分がなされた場合も含まれる。
3 法は、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分を適用除外としているた
め、そのような処分については別途条例で不服申立制度を設けなければならない。
4 法は、不服申立制度全般について統一的、整合的に規律することを目的とするの
で、別に個別の法令で特別な不服申立制度を規定することはできない。
5 不服申立てをすることができない処分については、法が列挙しているほか、他の
法律において特定の処分につき不服申立てをすることができない旨を規定すること
ができる。
問題16 不作為の違法確認訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 不作為の違法確認訴訟は、処分の相手方以外の者でも、不作為の違法の確認を求
めるにつき;去律上の利益を有する者であれば、提起することができる。
2 不作為の違法確認訴訟を提起するときは、対象となる処分の義務付け訴訟も併合
して提起しなければならない。
3 不作為の違法確認訴訟は、行政庁において一定の処分を行わないことが行政庁の
義務に違反することの確認を求める公法上の当事者訴訟である。
4 平成16 年の行政事件訴訟法の改正によって義務付け訴訟が法定されたのと同時
に、不作為の違法確認訴訟の対象も、申請を前提としない規制権限の不行使にまで
拡大された。
5 不作為の違法確認訴訟自体には出訴期間の定めはないが、その訴訟係属中に、行
政庁が何らかの処分を行った場合、当該訴訟は訴えの利益がなくなり却下される。
問題17 訴えの利益に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものは
どれか。
1 建築確認処分の取消しを求める利益は、建築物の建築工事の完了によっては失わ
れない。
2 保安林指定解除処分の取消しを求める利益は、洪水の危険を解消するために代替
施設が設置されたとしても失われない。
3 生活保護法に基づく保護変更決定の取消しを求める利益は、原告の死亡によって
失われず、原告の相続人が当該訴訟を承継できる。
4 再入国の許可申請に対する不許可処分について取消訴訟を提起した外国人は、本
邦を出国した場合、当該処分の取消しを求める利益を失う。
5 公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出された場
合、当該公文書の非公開決定の取消しを求める利益は失われる。
問題18 行政事件訴訟法31 条1 項に規定する事情判決についての次の記述のうち、妥当
なものはどれか。
1 事情判決は、処分の違法を認める判決であるから、請求認容の判決である。
2 事情判決においては、処分が違法であることが、判決の理由の中だけではなく、
その主文においても宣言される。
3 事情判決においては、処分の違法を宣言するとともに、それを理由として、被告
に損害賠償を命ずることができる。
4 事情判決は、行政事件訴訟に特有な制度であり、行政不服審査法には、類似の事
情裁決といった制度はない。
5 事情判決の規定は、公職選挙法上、同法による選挙の効力に関する訴訟にも準用
されている。
問題19 国家賠償制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 違法な行政庁の処分に対し国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あら
かじめ当該処分に対して取消訴訟または無効確認訴訟を提起し、取消しないし無効
確認の判決を得て、当該処分が違法であることを確定しておかなければならない。
2 国家賠償法は、憲法17 条の規定を受けて制定されたものであるので、日本国民
と外国人とを区別せずに損害賠償を認めている。
3 国家賠償法は、国または公共団体の損害賠償責任について、補充的に「民法の規
定による」としているが、民法典以外の失火責任法*や自動車損害賠償保障法など
も、ここにいう「民法の規定」に含まれる。
4 行政事件訴訟法は、行政庁が取消訴訟の対象となる処分をする場合には、当該処
分の相手方に対し、取消訴訟と併せて国家賠償法1 条に基づいて国家賠償訴訟を提
起することができる旨教示する義務を規定している。
5 国家賠償法は、憲法17 条の規定を受けて制定されたものであるから、特別法に
おいて、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、また
は制限する規定を置くことは憲法違反であり、許されない。
(注) * 失火ノ責任ニ関スル法律
問題20 国家賠償法1 条にいう「公権力の行使」に関する次の記述のうち、最高裁判所の
判例に照らし、妥当なものはどれか。
1 裁判官の裁判過程における行為は、司法作用にかかわる行為なので、「公権力の
行使」には該当しない。
2 国会議員の立法過程における行為は、国の統治作用にかかわる行為なので、「公
権力の行使」には該当しない。
3 国家公務員の定期健康診断における国嘱託の保健所勤務医師による検診は、医師
の一般的診断行為と異ならない行為なので、「公権力の行使」には該当しない。
4 国による国民健康保険法上の被保険者資格の基準に関する通知の発出は、行政組
織内部の行為なので、「公権力の行使」には該当しない。
5 勾留されている患者に対して拘置所職員たる医師が行う医療行為は、部分社会内
部の行為なので、「公権力の行使」には該当しない。
問題21〜30